1. ダウン症候群とは?
ダウン症候群(Down Syndrome)は、遺伝子の異常によって引き起こされる先天性の症候群です。
ヒトの細胞核には通常46本の染色体がありますが、ダウン症候群では、21番目の染色体が通常は2本であるところ、3本存在していることが原因で発症します。
そのため、別名「21トリソミー」とも呼ばれます。
この染色体の異常は、受精時の偶発的なものであり、親の遺伝によるものではないケースがほとんどです。
ダウン症候群は、最も頻度の高い染色体異常症の一つとして知られています。
2. ダウン症候群の主な身体的・認知的特徴
ダウン症候群を持つ人々は、共通した身体的特徴と発達に関する特性を持ちます。ただし、その程度や現れ方には個人差があります。
① 身体的特徴
特徴的な顔立ち: 目のつり上がり(切れ長の目)、鼻根部の平坦さ、小さな耳などが挙げられます。
筋緊張の低下(低緊張): 生まれたときから筋肉の緊張が低い傾向があり、運動発達がゆっくりになる一因となります。
合併症のリスク: 心臓の先天性疾患(特に心室中隔欠損症など)を合併するリスクが高く、早期の診断と治療が必要です。その他にも、消化器系の異常、甲状腺機能の異常、難聴、白内障などのリスクも高くなります。
② 認知的・発達的特徴
知的発達の遅れ: 軽度から中等度の知的障害を伴います。抽象的な思考や複雑な指示の理解には困難を伴う場合があります。
言語発達の遅れ: 言葉の理解や発語がゆっくりと進みます。特に、発音や構音に困難を抱えることが多いです。
社会性の高さ: 模倣や集団行動が得意で、明るく、社交的で温厚な性格傾向を持つ人が多いとされています。
3. 発達と教育、社会生活における支援
ダウン症候群を持つ子どもたちが能力を最大限に伸ばし、社会で自立していくためには、早期からの継続的な支援が重要です。
① 早期療育と医療的ケア
乳幼児期から、理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)などの療育を継続的に行うことが、運動機能やコミュニケーション能力の発達を促します。
また、先天性の心疾患やその他の合併症に対しては、専門的な医療チームによる継続的な管理と治療が必要です。
② 教育環境
教育においては、個別支援計画に基づき、本人の発達段階や特性に応じた教育が行われます。
特別支援学校や、地域の小中学校の特別支援学級・通級など、多様な学びの場が提供されています。近年では、インクルーシブ教育の推進により、可能な範囲で通常学級での交流を図る取り組みも進められています。
③ 就労・社会生活
成人後、多くの人が就労や社会参加を目指します。知的障害の特性を考慮した就労移行支援や就労継続支援といった福祉サービスを活用し、それぞれの得意なことや適性に応じた職場で活躍しています。
社会全体で、彼らの能力を活かせる多様な働き方の理解と機会提供が求められています。
4. ダウン症候群を取り巻く理解の重要性
ダウン症候群を持つ人々は、それぞれが個性や才能を持ち、社会の一員として暮らしています。
彼らを理解し支援するためには、単に「障害」と捉えるのではなく、「ゆっくりと着実に発達する個人」として尊重することが不可欠です。
周囲の人々が特性を理解し、コミュニケーション方法や学習環境に配慮することで、彼らの可能性は大きく広がります。
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