1. 脳性まひ(CP)とは?
脳性まひ(Cerebral Palsy: CP)とは、受胎から新生児期(生後4週間以内)にかけての時期に生じた脳の非進行性の病変によって引き起こされる、永続的な姿勢および運動の異常を指します。
脳の損傷部位や程度によって症状は異なりますが、主に「麻痺(まひ)」と「運動機能の制限」が中核となります。
脳性まひの病変自体は進行しませんが、成長や加齢に伴い、変形や二次的な障害(関節の拘縮など)は変化していく可能性があります。
2. 知的障害の併発と複合的な特性
脳性まひは、運動機能の障害が主ですが、約半数からそれ以上のケースで知的障害を伴うことが知られています。
これは、運動を司る部位だけでなく、認知機能や高次脳機能を司る部位にも脳の病変が及んでいるためです。
複合的な困難: 脳性まひに伴う知的障害を持つ場合、運動面と認知面の両方で困難を抱えます。
例えば、学習面で理解に時間がかかるだけでなく、学習したことを実行に移すための手の操作や発語(話し言葉)といったアウトプットの面でも困難が生じやすくなります。
障害の重層性: 肢体不自由(運動の困難)が、知的発達の遅れを評価する際の妨げになることもあります。発語が難しいために、認知能力が低く評価されてしまうケースもあるため、専門的な評価と個別的な支援が不可欠です。
3. 脳性まひの種類と知的障害の現れ方
脳性まひは、その運動麻痺の特性によっていくつかのタイプに分類され、タイプによって知的障害の併発率や重症度が異なります。
① 痙直型(けいちょくがた)
最も多く見られるタイプで、筋肉の緊張が高くなり、手足が突っ張った状態になります。麻痺の部位によって、片麻痺(体の一側)、両麻痺(下肢優位)、四肢麻痺(全身)などがあります。
知的障害: 四肢麻痺の場合、知的障害を伴う確率が非常に高くなります。
② アテトーゼ型(不随意運動型)
自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまう不随意運動が特徴です。緊張が変動しやすく、姿勢を保つことが困難です。
知的障害: 痙直型四肢麻痺に比べると知的障害の併発率は低い傾向にありますが、発語の困難が強いため、コミュニケーション支援が特に重要になります。
③ 失調型(しっちょうがた)
バランスをとる機能に問題があり、ふらつきや姿勢の不安定さが特徴です。
4. 教育、コミュニケーション、社会生活における支援
脳性まひに伴う知的障害を持つ人々への支援は、運動機能と認知機能の両側面からアプローチすることが求められます。
① コミュニケーション支援の重視
発語や手の操作が困難な場合、彼らの持つ認知能力を正確に引き出すために、**代替・拡大コミュニケーション(AAC)**が不可欠です。具体的には、視線入力装置、意思伝達装置(VOCA)、絵カードや文字盤など、様々なコミュニケーション手段が活用されます。
② 教育とリハビリテーションの一体化
特別支援教育では、単に知識を教えるだけでなく、日常生活動作(ADL)や移動、姿勢保持のための**理学療法(PT)や作業療法(OT)**を教育カリキュラムに組み込み、心身の発達を統合的に支援します。
③ 環境整備とバリアフリー
車いすや歩行器などの移動支援機器の活用に加え、彼らが学校や社会生活に参加しやすいよう、段差解消や広い通路の確保といった物理的バリアフリーの推進が必須です。また、認知的な困難をサポートするための情報バリアフリー(分かりやすい表現、図解など)も重要となります。
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